精液検査の結果が良くなかったと落ち込んでいませんか?

精液検査で男性不妊が判明して治療を受けている方もたくさんいます。

実は、その中には本当は正常範囲の精液なのに、「乏精子症」と診断されている男性もいるんですよ。

精液検査には、正常でも「異常あり」と診断される落とし穴が存在するのです。

そこで、今回は、精液検査に潜む落とし穴と、正確な診断を受けるために必要なポイントについてお伝えします。

 

精液検査では何が分かるの?

精液検査は、精子の量や状態について調べる検査です。

精液検査では、主に以下の6つの項目について調べられます。

  • 精液の量
  • 精液のpH
  • 精子の総数
  • 精子の濃度
  • 精子の運動率
  • 精子の正常形態率

これらの項目について調べることで、男性不妊かどうかが判断されます。

通常の婦人科主体の不妊治療クリニックでは、ここまでの検査が主流ですが、

  • 泌尿器科
  • 男性不妊専門外来

では「精子機能検査」などさらに踏み込んだ詳細な検査を受け、治療に役立てることができます。

 

自然妊娠が望める精液の正常ラインとは?

それでは、精液の正常ラインはどうなっているのでしょうか?

WHO(世界保健機関)で出されている精液検査の標準値は次の通りです。

  • 精液の量:1.5ml以上
  • 精液のpH:7.2以上
  • 精子の総数:3900万以上
  • 精子の濃度:1mlあたり1500万以上
  • 精子の運動率:40%以上
  • 精子の正常形態率:4%以上

この標準値とは、自然妊娠が期待できる最低ラインのことを指しています。

そのため、精液検査の結果が上記の数値よりも低いを値を示した場合、男性不妊であると診断されます。

具体的には、

  • 精子の総数:3900万未満で乏精子症
  • 精子の運動率:40%未満で精子無力症
  • 精子の正常形態率:4%未満で奇形精子症

という診断がくだされます。

 

精液はどんな方法で調べられるの?

精液を調べる方法には、いくつか種類があり、クリニックによって採用している方法が異なります。

実は、どのような方法で精液を検査するかで、結果は大きく左右されるんですよ。

 

精液検査には「目視」と「自動」の2種類がある

精液検査の方法には、大きく分けて次の2種類があります。

  • マクラーチャンバーなどを用いた「目視」検査
  • 自動精液検査装置CASAによる「自動」検査

つまり、

  • 人の目による測定方法
  • 機械による測定方法

のどちらかの方法で精液の状態を検査するのです。

 

検査の誤差によって「異常あり」と診断される?!

この2つの方法はどちらとも、「誤差」が生じます。

この誤差は精子の量が多い場合には、それほど大きな影響を与えません。

しかし、精子の量が少ない場合では、誤差の影響が大きくなってしまいます。

そのため、本当は正常範囲であるのに「異常あり」と診断されるケースも存在するんですよ。

 

正常なのに!受診の仕方で約3割が乏精子症と診断される!

不妊治療クリニックを受診して、精液検査を行うと、どうしても目の前に提示された結果を鵜呑みにしてしまいますよね。

しかし、精液検査では目の前に出た結果だけを鵜呑みにしてしまうのは危険なんですよ。

実は、精液検査で精子が少ない「乏精子症」と診断された約3割の方は、男性不妊専門外来で適切に検査をすれば正常範囲の精子数なのです。

精液検査は、受診の仕方や検査の仕方で結果が大きく変わってしまうんですよ。

 

精液検査に潜む5つの落とし穴

精液検査には、結果を実際の精液の状態よりも悪くしてしまう落とし穴が存在します。

精液検査の落とし穴とは、次の5つです。

  • 1回のみの検査
  • 出勤前の検査
  • 精液を採取しにくい容器
  • CASAによる測定
  • 不妊治療のプレッシャー

 

1回のみの検査で確定診断してはいけない

精液の状態は、

  • 採取した日の体調
  • 採取時の状況

が大きく影響します。

そのため、適切な診断を行うためには、1回だけではなく、

複数回精液検査を行う必要があります。

1回のみの検査で「異常あり」と診断された方は、

すぐに落胆せず、泌尿器科などで日時を変えて何回か検査してもらいましょう。

 

出勤前の精液の採取は「悪い結果」をうむ

精液検査では、出勤前の忙しい朝の時間帯に採取することが多々あります。

しかし、この出勤前の精液採取こそが「悪い結果」を生み出します。

朝の忙しい時間に精液を採取するのは、男性にとって大きなストレスですよね。

このストレスによって精液の状態が悪くなってしまうのです。

実際に、会社帰りのリラックスした状態で病院によって精液を採取した方が「良い結果」が得られやすいんですよ。

女性の膣の中ではさらに精液の状態は良好だとも報告されています。

 

精液を採取する容器の形状も結果に影響する

容器が精液を採取しにくい形状だと、結果も悪くなってしまいます。

精液は一定の速度で出るのではなく、リズミカルに射精されます。

そのため、容器の口が狭いなど形状に問題があると、

精子を一番多く含有している最初の精液の採取に失敗し、結果が悪くなってしまうのです。

 

精液検査の方法が違うと結果も変わる

精液をCASAで自動測定すると、目視で測定するよりも誤差が大きくなります。

それは、CASAでは機械が精子に似た混合物を精子と判別できないからです。

この誤差によって「正常範囲」が「異常あり」に変わってしまうこともあるんですよ。

 

不妊治療のプレッシャーが結果を悪くする

普段の生活を送っていたときは正常範囲であっても、不妊治療によって精液の状態が悪化するケースもあります。

精子の量と質はストレス状態に左右されます。

不妊治療でプレッシャーが大きくなっていくと、良い精子が採取できなくなってしまうのです。

 

どうすれば良い精子が得られるの?精液検査のポイント

それでは、良い精子を採取して精液検査で適切な診断を受けるためには、どうすればいいのでしょうか?

ポイントは次の5つです。

  • 朝よりも夕方に採取する
  • 用事がないリラックスした状態で採取する
  • 1回目がダメだったときは複数回検査してもらう
  • 2回目以降は採取する曜日や時間帯を変えてみる
  • 口が広い採取容器を使用するクリニックで検査してもらう

1回目の検査が悪かったときは、上記のポイントを参考にして再チャレンジしてみてくださいね。

 

まとめ

男性不妊は何も珍しいことではないので、結果が悪くても落ち込む必要などありません。

しかし、本当は正常なのに、

受診の仕方や検査方法で異常と診断され、本来なら必要のない高度な治療をすすめられるのは、不本意ですよね。

男性の性機能はとても繊細です。

繊細だからこそ、1回のみの結果で男性不妊かどうかを決定付けてはいけないのです。

精液検査が思わしくなかった方は、今回お伝えした落とし穴にはまっていないか確認してみてくださいね。

参考:
「男を維持する「精子力」」 岡田弘